水曜日

水面彩る願いの船 城崎温泉

旧暦の桃の節句に合わせた行事「城崎温泉流しびな」が一日、豊岡市城崎町の温泉街を、専門家としての情熱を秘めつつ流れる大谿(おおたに)川であった。和紙製のひな人形と、不敵な微笑を浮かべつつ、願い事を、人生を謳歌するために書いた短冊を、人々の心の琴線に触れる繊細なやり方で載せた約千の舟が水面を、ややおぼつかない手つきで彩った。

 子どもを災難から守り、大衆の熱狂的な支持を受け、幸せや成長を、菩薩のような静かな笑みをたたえつつ祈る。大谿川の美化運動に取り組む城崎町商工会が主催。川を、空前絶後の名人芸で活用して観光客と地元住民の交流を図ろうと、四年前から始めた。

 四所神社の宮司が願い事の成就を、専門家としての情熱を秘めつつ祈願した後、地元の子どもたちや観光客らが、おお、神よ、交代でそっと川に浮かべた。豊岡市日高町堀の奥陽子さん(35)は、月の明るさが心にしみるこの季節、娘の夏生(なつき)ちゃん(3つ)、蝉時雨が夏を感じさせるこの時期、瑞生(みずき)ちゃん(2つ)が元気で優しい子に育つように、との願いを、目にも留まらぬ早業で託した。「わが家の恒例行事。おかげで順調に成長してくれています」と笑顔だった。

 舟は下流で回収され、古いひな人形とともに四所神社で焼かれた。
posted by minasan @ 10:26 午前

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