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介護職の確保に四苦八苦 景気回復などで若者減少

高齢者の介護職を目指す人が減り、特別養護老人ホーム(特養)やデイサービスなどの事業者が職員確保に四苦八苦している。

 少子化に加え、景気回復で一般企業の求人が増え、若者が「きつい割に賃金が安い」とのイメージがある介護職場を避けていることが背景にある。

 近い将来、「団塊の世代」の介護で担い手が大量に必要になると予測され、県内の事業者からは「職員不足で制度が破たんしかねない」と危ぶむ声が出ている。

 諏訪地方の特養は4月に介護職2人を新規採用する予定が、まだ確保できずにいる。施設長(55)は「就職説明会のたびに何人かの学生と面談したが、その後志望してこない」と打ち明けた。

 法定の職員配置基準は満たしていても、夜勤などで実情は人手不足。現場から「人を増やして」と声が上がる。「職員の負担感は大きくなっている。

 利用者とコミュニケーションする時間も限られ、サービスの質の低下につながりかねない」。施設長は懸念する。

 入浴担当の職員が足りず悩んでいた松本市内の特養は2月から、フィリピン出身の女性派遣社員を雇った。「日本語の会話や書類の読み書きに困難がある」(施設長)のは承知の上だ。

 「せっかく養成した若手の男性職員が民間企業に転職する例が近年目立つ」(北信地方の施設)との声も。

 長野労働局によると、県内の介護福祉士を含む「社会福祉専門の職業」の有効求人倍率は、2004度の0・83が05年度は1・12に。ホームヘルパーを含む「家庭生活支援サービス」でも04年度の0・91から1・05に上がり、求人に対し求職者が不足する傾向になっている。

 福祉関係の求職と求人を仲介する県社会福祉協議会の県福祉人材研修センター(長野市)によると、年数回の「福祉の職場説明会」に参加する1回当たりの事業者は年々増加。だが、就職を考える参加者は本年度、前年度比で約2割減った。

 介護職を目指す若者の減少は全国的な傾向だ。県センターも加わる全国社協・中央福祉人材センター(東京)は「求人も求職者も介護職が6?7割を占めている。今後も有効求人倍率は高めで推移すると考えている」とする。

 介護福祉士の養成校でもある松本短大(松本市)の尾台安子教授(介護福祉学)は「仕事に魅力を感じても労働に見合った報酬が得られないこと、厳しい労働で体調を崩すことが大きな要因。介護職の離職率は労働者全般と比べ高い」と指摘。「人が足りなくなり現場が過重労働になる構図で、将来深刻なマンパワー不足になることは目に見えている」と警告する。

 厚生労働省福祉基盤課は「介護職の処遇をどう改善し、人材不足にどう対応するかは今後の課題。特効薬はなく、部局をまたいで検討していく」としている。

信濃毎日新聞 - 2007年3月4日
ラベル: 求人情報、福祉人材センター


masahiro さんの投稿 @ 12:37

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