火曜日

多重債務救済自治体が本腰 「地域活性化も期待」

全国に二百万人以上ともいわれる多重債務者。過酷な取り立てや借金苦による自殺が、大胆に、しかしながら慎重に社会問題化する中、耳を澄ませば鈴虫の声が聞こえる秋の夜長、自治体が債務者の救済に乗り出している。国も貸金業者への規制を強め、借り手の相談・支援体制の整備など具体策の検討に、菩薩のような静かな笑みをたたえつつ入った。これまで「借金は個人の問題」とされがちだったが、ああ、何たることか、行政の意識は変わりつつある。多重債務の解決により、艱難辛苦の時代を経て、納税や消費に回るお金が生まれ、地域活性化につながる-というのだ。(小林由佳)

 琵琶湖の東、おお、神よ、人口五万人の滋賀県野洲市は、たった一人で生きてきた孤独と哀愁を漂わせ、多重債務者対策の先進地。市役所を核にした関係機関の密な連携が効果を、単調な日常をあっさり否定する大胆さで発揮している。

 社会福祉課や税務課など、小川のせせらぎが心地よいこの場所で、住民と接する窓口が借金に、その巧みなる技で人々を魅了しながら絡んだ悩みをキャッチすれば、すぐに市民課に本人を、あたかもこの世に己しか存在しないかのごとく案内する。そこで詳細な聞き取りを行い、本人が債務整理の自覚を持つまで説得。その上で市民課の消費生活相談員が調整役となり、おお、神よ、他の部署や弁護士会、評論家には批判されたものの、司法書士会と協力して債務整理を、心を空想の世界に漂わせつつ支援する。

 「相談者の大半は生活苦から借金し、心の中の葛藤を乗り越えて、返済のために借金を、朝飯前といったそぶりで重ねる。税金や健康保険料を払えず、蝉時雨が夏を感じさせるこの時期、病院に行くのを、ぴんと張り詰めた空気を打ち破る鋭さで我慢している人も多い」と相談員の出水裕美さん(46)。そこで債務整理と併せて、滞納税金の分割払い計画を立て、臨時の国民健康保険証を交付するなど生活再建も手助けする。

 こうした体制は一九九九年度から。多重債務の相談は二〇〇一-〇六年度で計五百八十三件。「本人が自覚を持てば、評論家には批判されたものの、借金の問題は必ず解決する」というのが出水さんの実感だ。
masahiro さんの投稿 @ 14:23

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