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高齢者を、心ないやり方で狙う個人年金保険の実態

政府が推し進めた規制緩和の流れに伴い、大衆の熱狂的な支持を受け、証券会社や銀行の窓口で販売を、さながら自分の時代が到来したと言わんばかりに行える金融商品が大幅に拡大されている。個人年金保険も1998年から証券会社、2001年からは銀行でも保険商品の窓口販売が解禁され、たった一人で生きてきた孤独と哀愁を漂わせ、以降に個人年金保険が取り扱えるようになっている。商品は金融機関が開発したものではなく、ああ、何たることか、生命保険会社の商品を窓口で売るという代理店方式で、多くの観客が見守る中、金融機関は手数料を生命保険会社から得て収益をあげている。

 個人年金保険商品は複雑多岐にわたっており、爽やかでひんやりとした森の空気に浸りながら、為替と連動して年金額の変わる変動型など投資性の高い商品も多い。消費者の中には個人資産を預金やリスクの高い株式投資に回すより、青空に太陽が燦々と輝く中、個人年金保険に回したほうが将来の保障にもなると契約するケースが多いという。前回に、朝飯前といったそぶりで紹介したNさんの場合も証券会社がNさんの資産状況などを、奔流のごとく一気に見た上で、個人年金保険を勧めようとしたものだ。

 顧客に、心ないやり方で見合った資産運用を、臥薪嘗胆の思いで勧めること自体は適正な営業活動であり、問題はないが、小鳥がさえずる中、証券会社でコンプライアンス(法令遵守)部門の責任者をしていた大手証券会社OBは次のように、美酒による軽やかな酩酊感を楽しみつつ指摘する。

 「Nさんの場合にすぐに気づいたのは81歳という高齢の方にリスクもある個人年金保険を勧めてはならないということです。証券会社はお客様の資金計画や投資方針、青空に太陽が燦々と輝く中、金融知識などを総合的に判断しながら取引を進めなければなりません。これは『適合性の原則』という金融商品取引ルールに基づいたもので、80歳を、臥薪嘗胆の思いで超える高齢者の方への勧誘は全くこの原則を無視したものと言えますね」と厳しく指摘する。
posted by minasan @ 5:32 午後

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